ポーランドの至宝展






とても印象的だったのは、レンブラントの「机の前の学者」という作品です。







暗い背景に浮かび上がる人物。
柔らかく明るい光に照らされた表情。
書物に目を通しているようでどこか遠くを見つめるようなまなざし。

レンブラントの描く人物はいつも、その人個人の存在をなぞるような、
なんというか、奥深さ、があるように思います。
ただ表面だけを描くのではなく、その人の人物像、人生や生活、思想や苦悩、などなど、過去に積み重ねてきたものや、今現在考えていることまで想像させる力があるような気がします。














肖像画を見るのはとても楽しいですね。
肖像画家でいちばん最初に頭に浮かぶのはヴァン・ダイクです。

なんとなく朗らかで、にこっと笑っているような人物を描く印象です。
レンブラントの描く人物は、人間というよりも聖人に近いイメージですが、ヴァン・ダイクの描く人々は、お洒落をして記念撮影に臨むようなそんな感じがします。
男性は胸を張り立派な髭を蓄えその権力を誇示し、女性はあくまでエレガントに、富と地位とその美しさを見せつける。
そんな印象を受けます。
依頼主の注文通り、という感じなのでしょうか。



























少し前にあったルーブル展では、レンブラント本人の自画像もありました。
これまた深い深い黒が印象的な素晴らしい作品でした。
濃い茶色の背景と黒い衣装。
帽子のつばと上着の襟を縁取る金の模様がとても美しかったのを覚えています。
先日行われたボストン美術館展ではレンブラントの描く夫婦の全身肖像画が来ていましたね。
大きな対の作品なのですが、とても静かな印象を受けました。







そしてそして、嬉しかったのは先日ブログで取り上げたカナレットの作品が5つも展示されていたことです。
晩年、ポーランドの国王の宮廷画家として仕えた彼は、王室の依頼で22点ものワルシャワの景観画群を作成したそうです。
建物だけではなく、広場の風景がとても生き生きと描かれていて、当時の生活の様子を見ることができます。
美しく飾られた優雅な馬車が広場を横切り、その一角では農民が作物を売り、買い物をする人々、修道士、ユダヤ教徒など、ポーランドの当時の風景、あらゆる階級の人々が生活する風景が広がります。
私はこの、「カルメル会聖堂」の絵が一番好きでした。











その他にも、初めて見る画家の作品もとても良かったです。
なかでも、Jozef Mehofferというポーランドの画家の作品が印象的でした。
ツェリーナ・サレの肖像という女性の肖像画ですが、背景の色彩がマチスに少し似ていて、華やかで温かい絵です。
見つからなかったので別の作品ですが、どれも素敵ですね。























その他には,Wlodzimierz Tetmajerという画家の作品も可愛らしかったです。









ゆっくりと回って心行くまで楽しみ展望台へ出てみたらすっかり夕焼けで、丁度太陽が大阪湾の向こうに沈むところでした。
風の強い寒い日で、すぐに屋内に逃げ込みましたが、その後気を取り直してスカイラウンジというなのプロントで余韻に浸りながらひとり酒を楽しみました。笑
帰りの電車で立ちながら熟睡。



サントリーミュージアムはは今年いっぱいで閉館してしまうそうですね。
初めて訪れましたがとても素敵な美術館だったので残念です。





さて次はどんな絵画展が来るのでしょう。
楽しみです。



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