Aosta.







夏になると思い出すのは、アオスタでの食卓です。


アウトストラーダA5、トリノーアオスタ、
アオスタ・エストを降り、St.Pierre、Saint.Nicolasを越え、
カーブの続く山道をひたすら上り、最後は山の谷間の未舗装の砂利道を延々と進むと、
行き着いた先にそのレストランはあります。


標高およそ1800M、冬は雪で閉ざされるこのお店は、夏の7月と8月の2ヵ月のみの営業。
真夏でも風が涼しい気持ちのよい場所です。




アオスタといえばフォンティーナチーズが有名ですが、
獣医さんをしているというこの店の娘さんに話を聞いたところ、
各農家で作られるフォンティーナは、ある段階でフォンティーナ組合の熟成庫に集められ、全て一緒くたに出荷されてしまうそうです。
もちろん厳重な管理下、きちんと熟成され、DOPの印を押されて出荷されるわけですが、
農家ごとの牛の差、牛の食べている牧草、チーズの作り方、それぞれ個性があり、より美味しいもの、そうでないものが全て同じ“Fontina DOP”で出荷される、ということがとても残念だ、と。

農家の方たちは、ラベルに張ってある番号をみれば、誰が作ったものか分かる、といいますが、
なかなか番号まで選んで買うことなんてできませんし。

では、本当に美味しいフォンティーナはどこで食べられるのか。

この山の上のレストランでは、その獣医の娘さんが、贔屓の農家さんの作るフォンティーナを分けてもらっているので、びっくりするくらい美味しいフォンティーナが食べられます。
初夏の若葉を食べた牛のフォンティーナや(青々しい香り!)、熟成の進んだもの、何種類ものフォンティーナを味見させてくれます。


http://www.consorzioproduttorifontina.it/



アオスタ名物、乾パン:pane duro、サラミもラルドも全て自家製です。







余ったパンを乾燥させて作るのではなく、乾パン用のレシピで作ったパンを乾かして作るそうです。
保存食なので、一斉に仕込むとのこと。


作りたてのリコッタに、唐辛子と胡桃を混ぜたもの。
素朴で美味しい。


豚のラルド。
塩加減が絶妙。
乾パンと良く合います。


牛肉のカルパッチョ、クルミオイル、野生のセロリの葉。
寒くてオリーブの育たないこの地では、昔からクルミオイルを搾っていたそうです。


手前から豚牛半々フレッシュ、豚牛熟成、豚の血、芋、ビーツ、豚100%。


乾燥栗を茹でたもの。
茹でるとき、塩をほんのひとつまみしか入れないそうですが、ほくほくで甘くて美味です。


作りたてのバター!


プリモ、ポレンタ、フォンティーナ、玉葱のオーブン焼き。


セコンド、牛肉のカルボナーダ。
牛肉を高地で作る酸味の強い白ワインで煮込んだ料理。


ドルチェ、りんごのトルタ。



そしてなぜかsolderaが飲めます。
美味しかった…。



食後酒。


オイルを搾った後のクルミ。
アペリティーボと共に。
ぱさぱさしていてすぐにのどが渇くので少量でいいおつまみに。
貧しかった頃の知恵。
甘くない栗落雁のような味です。












見れば見るほど思いが募ります。
アオスタに行かれる際はぜひ。

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