サンドロ・キア展 「夢見る田園」




今日の午後は、京都造形芸術大学で開かれている個展を見に出かけました。
お客様が教えてくださった個展で、サンドロ・キアというイタリア、フィレンツェ生まれの現代画家のものです。

大学構内の小さなギャラリー。
入るとすぐに卒業生?たちの作品の並ぶ部屋があり、
すぐ隣にサンドロ氏の絵が飾られる広い部屋がありました。


恥ずかしながら、初めて聞くアーティストなのですが、本当にとてもよかった。
しみじみと、色ってきれいだなぁ、と思うような、そんな色彩でした。

案内のパンフレットに載っている、二匹の青魚と男性の大きな絵、
どうしてあんなに温かい赤を出せるのでしょう。
火や炎のような赤ではないのに、見ているだけでなんだか不思議なくらい温かな赤。
ヨーロッパの赤、なのでしょうか。
この個展のことを教えてくださったお客様は、
マチスシャガール、ピカソなどと通じるような、とおっしゃっていましたが、同感です。
やわらかい曲線と存在感のある色彩、上手なのか下手なのか分からないような(笑)
そんなSimpatico,親しみやすい作品たちでした。


それでも、いくつかは雰囲気の違う作品もあり、
血の赤や、肉体の色、とても印象的です。


そうやって、広いホールに飾られた、質素ともいえる額に入った彼の作品を眺めていると、
なんだかいろんな考えが浮かんでくるんですね。

例えば、その青魚の男性の絵、背景のぐるぐるは描いていて気持ちよさそうだな、とか、
これは楽しくて楽しくて描いているのかな、
それとも内にあるなにかを搾り出して描いているのか、とか、

何かを伝えたくて描くのか、ただすべてをゆだねて描くのか。


それでもとにかく、このいくつもの作品たちを、ひとりの画家が描いたというのは事実で、
あっちの明るい絵も、こっちの暗い絵も、
同じ人が同じ手と同じ体で描いたものだと思うと、
なんとも言えない不思議な気持ちになります。


何人もの作品を一度に見る機会はたくさんありますが、
個展、というのはとても面白いですね。
何百枚あっても、同じ人の作品だと思うと、その人の抱える何かが
見えてきそうで、でも逆にどんどん見えなくもなってゆくような気もして。



一度、アムステルダムゴッホ美術館に行き、
最初の時期の、暗い暗い絵が並んでいるのを見たとき、
なんだかとてもがっかりしたんです。
全然好きじゃないし、ゴッホ、こういう絵を描くのか、と。

だけど、年を重ねるにつれて様子が変わってゆく絵を
はじからゆっくり見ていたら、言葉にできない感動が襲ってきて、
黄金の果物の絵や、桜や桃の枝の絵を見て、涙がでてくるような。
彼の人生の変化の何かが見えたような...。


今でも忘れらない経験です。





サンドロ・キア展、2月6日まで、京都造形芸術大学構内、ギャルリ・オーブにて。
そしてなんとなんと、無料!!!!!
信じられません。
素晴らしいです。



たくさんの学生さんたちが、ライトアップの仕方や、自分の作品の演出の仕方などを話していて、
活気があってとてもよかったです。
もう一度、行けたらいいなと思います。


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